2011年07月01日

題詠blog2011 拙歌まとめ

 題詠blog2011へ投稿させて頂いた拙歌の一覧を、以下へまとめておきます。



【投稿歌まとめ】

001:初
 初花も散りくる浅き春宵に梅香と薫る雪白の幽

002:幸
 一人居て明くるを待ちつきみ想う夜の幸福を君は知るまじ

003:細
 夕暮れて泥むあたりに幼子の迷犬(まよいぬ)捜し呼ぶ声細く

004:まさか
 あまさかる夷の旅路を一人来てきみに近しき風に吹かるる

005:姿
 雲掛かる胸中晴らす風吹かば月の麗姿を見なましものを

006:困
 きみはまた途方に暮れた顔をして困惑ばかり見せつけてゆく

007:耕
 耕作の徒となりゆかん我もまた名も無き原に言の葉埋(うず)め

008:下手
 上手より来たりし役者(ひと)が下手へと掃けてゆく間の人生ひとつ

009:寒
 遇うたびに惑いつとけて春近し つれなきひとの三寒四温

010:駆
 空知らぬ雨の綴り路遡る眸は雲を駆け抜けてゆけ

011:ゲーム
 ゲームだと莫迦にするない幾万行書いたコードは時より重い

012:堅
 香炊きのしろしめしたる堅州國 煙(けむ)よ黄泉路の果つるはいづこ

013:故
 わたくしの夢にあなたはいつだって佇んでいます 何故、とも問わず

014:残
 細波の寄せては返す溜息にひかりの残滓またたくを見る

015:とりあえず
 今日もまた時の重みに耐えかねて下ろす荷寄せる とりあえずの日

016:絹
 引き裂かれ散れる絹糸縒り合わせくくる御霊の天魔なる影

017:失
 くれないに沈む記憶の壜詰めがわれを助くる喪失の夜

018:準備
 誰も彼も骸と並ぶ準備して黄泉路を歩む肉の一片

019:層
 地層より現れ出でた石を接ぎ描く竜こそ 嗚呼、fantasia!

020:幻
 氷上に見えし幻 羽衣の尾をひく軌跡われに残れり

021:洗
 洗い髪梳かせば黒き一条の悔恨絡め嗤う指先

022:でたらめ
 でたらめに走り来た足跡にさえ人生見たり彼が我なれば

023:蜂
 毒蜂の一刺しのごと君穿ち共に果てなむ夜のいづれに

024:謝
 据えられし鸚鵡頭が街頭に実もなき謝辞をただ紡ぎ居り

025:ミステリー
 ミステリー重ね寝(い)むべし墓標まで秘めたる花の片を愛でつつ

026:震
 砕かるる 震えしひとも地も海も 星よいづれの怒りを撲たん

027:水
 飢え乍ら寄せては返す水に揺る世のうたかたが夢にし見ゆる

028:説
 此がもし小説ならば頁捨て悲劇の一場を忘れしものを

029:公式
 切なさも愛しさもみな公式の外側にある解なき憂い

030:遅
 願ひても詮無きことと知り乍ら恋し日常 ひとめあなたに

031:電
 囂しき電飾よりも希なりし人の胸にも灯るあかりは

032:町
 てのひらの内に息づく町がある 涙も笑顔も、きらめいて ほら

033:奇跡
 己へと祈る奇跡の数多捨て夜毎願うは『君存えて』

034:掃
 後悔を集めて久し掃き溜めの泥にも似たりわれの病床

035:罪
 慈悲深き忘却にさえ仇しやな 夜の狭間へ埋めし罪は

036:暑
 あの夏の暑さに一人絆されて少女は彼を追おうと決めた

037:ポーズ
 静止画の如き窓辺にポーズしつ眸ばかりがわたしに挑む

038:抱
 きみは未だ冬の腕に抱かれて笑み聲咲かず花開くとも

039:庭
 酒汲みて明くる机上の庭雀 朝(あした)の歌を書き留めもせず

040:伝
 伝え聞く地の凄惨に息溢る 唯生きていた それだけなのに

041:さっぱり
 倖せが僕にはさっぱり見えなくてそれでも君の恋になりたい

042:至
 此の國に産まれ生き来し至福あり浴みす湯船に揺らる一時

043:寿
 祖母の手を握れば月日が皺と笑む 寿の字がわたしを包む

044:護
 とこしえに匂い誇れよ奥羽路の護国の桜宴と開かば

045:幼稚
 町失せて月夜は照らす幼稚子の笑みにも隠る星の滴を

046:奏
 天津風腕も無くて奏上の鐘のみ響く 海悖りくる

047:態
 言の葉の千姿万態選り分けて花とも実とも吾が霊とも

048:束
 剃刀のわれを裂かなむやさしさを覚束無くも恋ひてあらなむ

049:方法
 暁闇が証明方法縁取れる髪ひとすじの地平の在処

050:酒
 ものみなは吾が朋なりし誘酔ひの月にも満つる酒精の琥珀

051:漕
 千年の重きを漕げど舟尽きず哀しからずや岸辺のカロン

052:芯
 滔々と灯芯満たし仄青く震える命 何にか怯え

053:なう
 朝霞八重の桜へ絆されて夜の名残の魂をあざなう

054:丼
 未だ帰ぬと仄明けき窓眺めやる他人丼静かに冷えて

055:虚
 漫ろなる吾にも今し虚無来る 空の青さに打ち穿たれて

056:摘
 掻き抱きて髪さぐりつつ君が手が我が憂鬱を摘み取りし春

057:ライバル
 未だ見ぬ時へ宿世をライバルに据えて通いし夜毎の現

058:帆
 胸に凪 櫂の手も無く帆掛船 行方知れずのこころを乗せて

059:騒
 君隠る胸の騒ぎを打ち棄てて夜毎聴きなむ吾のみの音

060:直
 筆芯へ蟠る血の途惑いを引き延ばしたる直立不動

061:有無
 月は唯遙か頭上へ懸かりおり いのちの有無を問うこともなく

062:墓
 言の葉は我が墓であれ揺り籠の鎖も揺らす夜の頃から

063:丈
 空知らぬ雨に腐果つ茉莉花の香拭い得ぬ遠き一丈

064:おやつ
 おやつなら食べてきました だからこの甘いことばはあなたにあげる

065:羽
 陽炎に夏の影めく黒揚羽 四輪駆動の気配が殺し

066:豚
 喰らいつつ故意に忘れて過ごし居る 生き来し豚の肉になる日を

067:励
 励ましの声ばかりなる日を倦みて一つ無音の支援を残し

068:コットン
 エナメルの有刺鉄線摘み取りしコットンパフに少女が芽吹く

069:箸
 火箸もて掻き混ぜる炭灰白く荼毘に付されし人のごとくに

070:介
 わたくしときみの間に横たわる 音 風 ひかり 空の介在

071:謡
 文字のみに今は遺りしことばにも流れて居ようか謡い手の血は

072:汚
 いろつきの汚れを窪へ塗り重ね膨らんでゆく僕等のいのち

073:自然
 誰もみな産まれ落ちたる塵界に自然神話の嘗てを想う

074:刃
 泥濘の今世往く我が肉体に霊(たま)と埋めし刃は見得ず

075:朱
 華も亡く光露と散りしあの夏を燃やし尽くせよ朱雀の翼

076:ツリー
 備えども憂虞ばかりが重ねゆく解捉え得ぬツリー構造

077:狂
 其はまるで恋にも似たり吾が胸の触れ得ぬ箇所へ点る狂気は

078:卵
 孰れかは孵るのだろうかこの惑星〔ほし〕は生を宿せし卵とも似て

079:雑
 千年も生き来しほどの雑事へと埋もる指先歌にて拭う

080:結婚
 吾が身には遠かりしその二文字は死神となら遂げし『結婚』

081:配
 鏤めし時の道筋絡めつつ配電盤を焦がし来る明日

082:万
 遺されし唯一文字に口説かれて万有引力この身に余る

083:溝
 都会〔まち〕行きの車窓より亦た駅越せば空との溝が深まりゆきて

084:総
 君が背の残り香めいて寄る風を総身へ受けて埠頭へ立てり

085:フルーツ
 湯上がりのフルーツ牛乳懐かしき昭和の影が未だ生きている

086:貴
 高貴なる気儘と名付け愛すべき ヴィオロンの鳴 猫の語り部

087:閉
 夜の風を閉じ込めても居る窓辺にて生活空間静かに腐る

088:湧
 生くるほど近くなりなむ根の国へ亦た死者の湧くけむりを鎮め

089:成
 言霊を如何に磨けど敵うまじ天が詠ませし偶成の作

090:そもそも
 詠い来て評に浮かれど沈めどもそもそも誰の為でもなくて

091:債
 一刻と留まらぬ日がまた過ぎて債鬼とも似る秒針の鳴

092:念
 初蝉に滾る命脈念念と燃え上がりゆく 夏遠からじ

093:迫
 君宛に綴り損ねた空白が圧迫してゆく一瓶の春

094:裂
 渡し舟裂きゆくほどに紅の血潮散りたり落陽の岸

095:遠慮
 忍び泣く霧の湖畔に影殺し今宵は月も遠慮がちなる

096:取
 明け遠き閨に一条蜘蛛の来てわれの小さき死を看取り秘む

097:毎
 深海の底ひなき路路毎に亦溺れゆくしびと〔詩人〕の聲が

098:味
 乞う程に天は恵みを与えずと知りつ嫌味を噛み締めて在る

099:惑
 惑い路の果てに星無き僕の為めコーヒーカップの宇宙はありき

100:完
 歩み来た道筋に吹く風をもて描きし幕は未完のままに

posted by 水風抱月 at 00:11 | Comment(0) | TrackBack(0) | 水鏡の鳴(題詠blog '11) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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